ケーニッヒ・スペシャルを彷彿させる
Y31セドリック



 80年代の裏社会、そしてバブル景気へと突き進む直前の狂乱の時代。富の象徴でもあった高級車は、ノーマルのまま乗るだけでは飽き足らず、さらに特別に、さらに豪華に仕立て上げることが一大ブームとなった。高級セダンをベースに、ワイドなボディや専用エアロ、豪華なインテリア、迫力あるホイールを組み合わせ、まるで別のクルマへと生まれ変わらせる。そんな世界観を象徴した存在が、当時の欧州コーチビルダーだった。

 なかでもメルセデス・ベンツをベースに手掛けたAMG、ブラバス、ロリンザー、ABC、そしてケーニッヒなどのコンプリートモデルは別格。ノーマルでは決して味わえない強烈な存在感と、見る者を圧倒するワイド&ローなスタイルは、当時の日本のカスタムシーンにも大きな影響を与えた。

 ひろしさんのY31セドリックは、まさにそんな時代の空気を現代に蘇らせた一台だ。単なる「ケーニッヒ風」ではなく、当時の高級車改造文化を自分なりに解釈し、国産セダンであるY31に落とし込んだところが面白い。

 エクステリアでまず目を奪われるのが、マリリンモンロー仕様のボンネットにGX61用アスレーシング製エアロをベースに加工・装着したボディだ。さらにフロントとリアにはワンオフ製作のブリスターフェンダーを組み合わせ、Y31とは思えないほどワイドでグラマラスなシルエットを作り上げている。既製品をただ装着するのではなく、車体に合わせて加工し、フェンダーまでワンオフで仕上げるあたりに、このクルマへのこだわりが表れている。

 そして、足元も見逃せない。装着するのは14インチ、F10J/R12.5Jという極太サイズのスターファイブ。現代の大径ホイールとはまったく違う、80年代ならではの迫力と存在感を放つ。ブラックボディにゴールドディスクという組み合わせも強烈で、ケーニッヒを思わせる悪さと豪華さを同時に主張する。
 高級車をさらに高級に、そしてさらに威圧的に仕立てる。そんな80年代独特の価値観を、Y31セドリックという国産高級セダンで再現したところに、このクルマの最大の魅力がある。



トランクにもケーニッヒ・スペシャルを主張するウイングを装着する。


インテリアは純正のゴージャス仕様に加えて当時の街道レーサー風のアレンジを施している。



前後のブリスターフェンダーの形状に注目。その作り込みにオーナーのこだわりを感じる。

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