80年代の裏社会、バブル直前の狂乱の時代、金持ち達は富を誇示するために、高級車をさらに改造し、より特別に、より豪華に飾ることがブームになった。中でもメルセデスベンツは別格で、そのベンツをチューニングするAMG、ブラバス、ロリンザ、ABCといったコーチビルダーと呼ばれるドイツチューナーが手掛けたコンプリートモデルの存在感は凄まじかった。こんなクルマに後ろに迫られたら道を譲りたくなる!! そんな無言の威圧感を持っていた。
 普通のベンツでは満足できない人たちにとって、その当時、ひと際目立ち、究極のカスタムと呼ばれたベンツがあった。それが、ここに並ぶ2台のW126ケーニッヒ・ベンツである。
 奇抜なスタイリングは、他の海外チューナー達の提案とはまったく別のアプローチ。スーパーカーを彷彿させる外装とゴージャスに仕上げたインテリアによる装飾は、存在そのものが特別であり、超高級車としての風格を超え、いっそ不気味ですらあった。

 ケーニッヒは1974年にウィリー・ケーニッヒによりドイツ・ミュンヘンで操業されたチューニングメーカーだ。一番最初に作ったマシンは、1975年に登場したフェラーリ365BB。これを誰もが想像できなかった斬新な姿にモディファイさせ、華々しいデビューを飾った。その後、ケーニッヒの快進撃は続き、BMW、ランボルギーニ、メルセデスベンツといった高級スポーツカーを中心に、次々と新たな手法で斬新なスタイルとチューニングを生み出して全世界に名声を轟かせた。
 ケーニッヒのロゴとなる「koenig」とは、英語では「king」となる。つまり、ストリートを駆け抜ける王として君臨し続ける意味を持たせていたわけだ。
 W126ケーニッヒ・ベンツは、数多くのラインナップの中でも黄金期に登場したモデルである。街道レーサー乗りにも衝撃を与え、そのスタイルに憧れ、インパクトあるスタイリングを参考に、自らの改造車にもその造形を取り入れようとしたファンも多い。
 ここで紹介しているW126ケーニッヒ・ベンツは、まさにワルなケーニッヒの代表作で、SECのスタンダードモデルではなく、全長が長いロングボディを持つSELバージョンをベースにしている点も見逃せないポイント。この2台は、そんな普通ではない特別な威圧感を持った改造公認車である。
 迫力のブリスターフェンダーの外観や、ディープリムのBBSホイールだけでも凄い仕上げだが、この2台はエンジンもきっちりチューニングを施しているから恐ろしい。パワーユニットである5.6リッターのエンジンには、なんとスーパーチャージャーを搭載!! 本気を出せば暴力的な加速力を発揮し、圧倒的なトップスピードでかっ飛ばせる。すべてにおいて余裕とゆとりを持たせながら、圧倒的な存在感で80年代の公道を駆け抜けた。それがメルセデスW126-560SELケーニッヒベンツというクルマなのだ。

ド迫力のケーニッヒ仕様!! よりワルを主張するために、ボディ色はミッドナイトパープルにオールペンしている。
ケーニッヒといえばこのウイングだ。街道レーサー好きにとっても憧れのアイテムである。
特注のルイ・ヴィトン仕様の内装はまさに豪華絢爛。フロアマットもヴィトンになっている。イーグルシフトノブとモモのウッドステアリングに親近感が沸く。
こちらのW126ケーニッヒ・ベンツは当時の純正色。この独特のカラーも懐かしい。
内装はキャラットウッド仕様。(たしか、カルティエの時計も付いていたような)。ステアリングはOBAゴールドスポーク28φに交換した街道レーサーらしい仕上げ。
迫力のブリスターフェンダー!! W126の巨大なボディがさらに大きくなる。横幅は2m超えだ!

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