現在の旧車會で人気を集めている単車の歴史を振り返る!! この時代のこの単車でなければ、俺達にとってはダメなのだ。
当時はあまり気にしていなかったが、今あらためて思い出そう。デビューから派生モデルへの移り変わりを知ることで、また新たな発見もあるだろう。そして、やっぱりこの時代のバイクは面白いと実感するはず。
軽い! 速い!! 甲高い!!!
峠のナナハンキラー
1980年代初頭、時代はすでに2ストから4ストへと移行しかけていた。そのような折、2スト屋としてのヤマハの意地にかけて製作した単車が登場する。それが数多くの走り屋達から愛されたヤマハRZである。
70年代後半に起こった第一次オイルショックは、単車のラインナップに大きな影響を与えた。日本全体に「省エネ」の機運が高まり、構造上の理由から、燃費が悪い2スト車は、徐々に存在価値を失っていった。加えて、高度成長期の副産物であった公害問題も影響し、マフラーから煙をモクモク上げながら走る2ストエンジン搭載車に追い討ちをかけた。こうして、徐々に2ストから4ストへと移行する動きが強くなっていった。
しかし、これをヨシとしなかったのが、2ストにかけては長い歴史をもつヤマハだった。
このまま使命を終えるなら、それも時代の流れ。ただ、その流れの中で、最後に自分らが納得のいく単車を作って、2ストの良さ、存在を世に問うべきではないか。
そんな熱い思いを持った技術者たちが集結し、「最後の2ストロークスポーツ」を開発すると決断。2ストならではのシンプルなメカニズムで、2ストでなくては実現できない走りの爽快感、胸のすくような加速フィーリングを実現させる。そんなテーマで開発されたピュアスポーツモデルが、ココで紹介するRZ250だった。
当時の主力であったRDをベースに、エンジンを一新。冷却方式も空冷から水冷へとシフトさせることで、エンジン出力を安定して発揮できるシステムを完成させた。そして、たった250㏄という排気量のエンジンにも関わらず、驚異の35馬力もの最高出力を引き出した技術も素晴らしかった。
RZ250のスタイリングは、火炎キャストと呼ばれるホイールや多段チャンバータイプのテールアップマフラー、特徴的な大きなラジエターなどを装備し、流麗で挑戦的なフォルムを構成するパーツによってファンの目を釘づけにした。ネイキッド風のスポーティな外観とも相まって、発表から火が付き発売と同時に爆発的なヒットを記録。軽量で速く、2ストならではのよく回るエンジンに甲高い排気音を奏でた。RZというバイクは、時代の流れと逆行したメカニズムだったが、バイク乗りの心をがっちりと掴み、虜にし、夢中にさせるポテンシャルを持っていた。
1981年には、上位互換バージョンのRZ350が発売。こちらは税金制度の問題もあって売り上げ的には苦戦したが、爆発的な加速と軽さで、峠では“ナナハンキラー”と呼ばれる存在になり、後に数多くの伝説を作り開花する。またヨーロッパ市場ではRDの名でロングセラーモデルにもなっている。
その後、RZはシリーズとして後継機となるRZR、RZRR、TZRと続くレーサーレプリカブームの火付け役となる。風前の灯であった2ストは、RZの誕生によって再びその価値を高め、ヤマハが誇る人気バイクの一大シリーズを築くきっかけとなったわけだ。まさに技術者たちのブレない志、あるいは執念が実った傑作といえるだろう。
YAMAHA
RZ250/350シリーズ
1980年
1980年に登場したRZ250は黒×赤のほかに白×赤があった。メッキが主流のマフラーも、黒のチャンバーが採用され話題になった。
1981年
1981年に登場したRZ350は外装のカラーが異なる。インパクトのある黒塗りのエンジンは250から継承した。
1982年
1982年には新色が登場。ペイント自体は350と共通で、外観からはより見分けが付き難くなった。
1982年に変更された外装の新色は350が基本になっていた。フチ付きの2本ラインからフチなしの3本ラインに変更された。
1983年
1983年にYPVS・新モノクロスサスペンション、TZゆずりのダブルクレードル・フレーム等々を装備し、パワーも43馬力を獲得した、ビキニカウルのRZ250Rが登場した。
1984年
1984年発売のフルカウル付のスポーツバージョンRZ250RRが登場。単なる外観だけの変更ではなく、強制開閉キャブやチャンバータイプマフラーや新ポート採用のシリンダで45馬力を達成した。
RZ250/350シリーズ特別仕様車
ベース色はチャピーレッドを使い紺、白、水色の3本ラインが特徴。旧車會でも人気のカラーリングだ。
限定300台の青いRZ。ヤマハオートセンター創立10周年を記念して作られたモデルだ。
イエローのペイントにヤマハインターカラーの外装が特徴のケニー・ロバーツ仕様は憧れだった。
当時のRZの広告には、ヤマハワークスで大活躍していたキング・ケニーも登場。走りのイメージをより強めた。
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