現在の旧車會で人気を集めている単車の歴史を振り返る!!今回はホンダHAWKシリーズに注目する。
俺達にとってはこの時代、この単車でなければダメなんだ。そんな思いを、今、あらためて思い出そう。デビューから派生モデルへの移り変わりを知ることで、また新たな発見がある。そして、やっぱりこの時代のバイクは面白いと実感するはずだ。

悪くてうるさい排気音
暴走族の心を刺激した!!
 ホークシリーズが最初に発売されたのは、1977年5月25日。ヨンフォア(CB400FOUR)の後継車としてデビューした。

 ヨンフォアはカフェレーサーを意識したスタイリッシュなデザインに、当時としては珍しかった中型の空冷4気筒車だ。免許制度の改正により生産終了となってもなお、中古車市場でも新車に近い価格で取引され、プレミア売買の元祖のような存在だった。
 一方、ホークは「中型なら2気筒の方が速いだろう」という理由で、4気筒から軽量2気筒に。そして、鉄製のスポークプレートをリベット留めした組み立て式ホイールが採用された。

CB400T/ホークⅡ
初期型は、やかんタンクと呼ばれた丸いタンクが一番の特徴。さらに外観で一番分かりやすいのはフロントブレーキで、Tバブはシングルディスク。車体番号の打刻形式はCB400T1000001~。

コストカットによるデザインに疑問の声
しかし売上は好調だった

 コムスターホイールと呼ばれたそのデザインは、当時としては画期的で、スポークやキャストホイールよりもコストが低く抑えられる点からメーカーは積極的に導入した。

 こうしたコストカットを念頭に置いたデザインは、実は随所に見られる。ヨンフォアが思ったよりも高コストであったことから、ホークではとにかくコストの切りつめが徹底的になされた。

 そのためか、デザインもスタイリッシュとは言い難く、座布団のようだと言われた分厚いシートにアップハン、「やかん」と揶揄された丸いタンクなど、よく言えば中庸、誤解を恐れずにいえばどっちつかずの印象で、完成度については疑問を唱える声も、当時は少なくなかったと聞く。

 ところが蓋を開けてみれば、売れ行きは悪くなかった。そこは、天下のホンダの力なのか、乗り心地にコストダウンの影響を感じさせず、その乗りやすさから、多くの教習所で教習車に採用されたほどだった。

 ちなみに、トップバッターとしてデビューしたのはCB400Tで、現在人気の250㏄モデルの登場は1年後。77年7月5日にCB250Tがホークでデビューする。

CB400N/ホークⅢ
外装はCB900、750Fなどにも似たヨーロピアンスタイル。ギアが5速から6速になり、フロントブレーキがシングルからダブルディスクに変更となった。車体番号の打刻形式はCB400N1000001~。

スーパーホークⅢ
ホークの上位車種として発売されたモデルで、外見上のNバブとの違いはリアがディスクブレーキでエンジンは黒塗り、キックがない。ただし逆輸入車はリアがドラムブレーキの車種もある。車体番号の打刻形式はNC04-1000019~。

野暮ったさが改造魂に火を付け
その爆音に族たちは狂喜した

 ホークはその乗りやすさとノーマル時の野暮ったさが、暴走族の改造魂に火をつけた。シートのアンコ抜きやケツ上げなど、個々のセンスで思い思いの単車を作り上げることが出来たのだった。ボアダウン版のホークが登場すると、250ccの登録でエンジンだけ400ccに載せかえるなどの「裏技」も広まっていったようだ。

 また、当時の暴走族を狂喜させたのは、集合管に付け替えた際の"爆音"だった。当時の暴走族、そして、現在の旧車會においてホークは「バブ」の愛称で親しまれている。その理由は「バー」「ブー」という排気音がするためであり、この暴走族らしい"悪い音"を奏でることにより全国的な人気車種となった。

 そしてその人気は、79年に誕生するホークⅢの登場でさらに強固なものになる。当時も人気だったCBのナナハンに似たデザインに、フロントダブルディスクブレーキ、6速ミッションなど、装備も増強。スズキのGSと人気を二分する人気車種となった。

 しかし、他社が徐々に空冷4気筒バイクに主力をシフトする中で、勢力は徐々に衰退。スーパーホークⅢを投入するものの、一度動き出した大局の流れは変えることができず、その座を後に大ヒット作となるCBXに譲ることになった。

HAWK250ccシリーズ

 パッと見は400ccと変わらず、ファンからは「400ccよりも音がいい」と評されることも多い250ccのバブ。さらに車検もないので、バブに限定すれば需要の面では400ccと大差はない。

CB250T/ホーク
ホークⅡのボアダウンしたものなので、それほど大きな差は無いが、初期型にはスポークホイールのタイプもある。車体番号の打刻形式はCB250T1000001~。

CB250N/ホーク
こちらもホークⅢのボアダウン版で差異は少ないが、400ccが前輪19インチ/後輪18インチなのに対して、250ccは前後とも18インチなどの違いがある。車体番号の打刻形式はCB250N1500001~。

スーパーホーク
根本的な400ccと250ccの装備の違いはあるが、加装はスーパーホークⅢとほぼ同様。逆輸入車だとほぼNと一緒なのもスーパーホークⅢと同じだ。車体番号の打刻形式はMC03-1000019~。

旧車會でも大人気
中部限定カラーのスーパーホークⅢ
スーパーホークのシリーズには限定カラーがいくつか存在する。よく知られているのはR仕様だが、さらに限定200台程度で生産された[中部限定カラー]がある。タンクとアルフィンが赤×白のツートンで、シート脇とスポークが赤でペイントされているのが特徴。現物があれば相当なお宝だろう。


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