グラン・ツーリスモ、もしくはグランド・ツーリングカーの略称として知られている「GT」の称号だが、日本ではその意味は、ちょっと違った方向で使われてきた一面がある。
 一時はスポーティーカーとはいえない車種まで「GT」のエンブレムが付き、グレード名のひとつとして認識されたこともあったが、ここでは時代を少しさかのぼって、日本での「GT」の扱われ方を検証してみた。


GTの称号を与えられる理由
それは高性能を示す証である

 まず日本におけるGTというネーミングの起源から話をしていく。
 GTの名が最初に与えられたのはプリンスのスカイラインGTと、いすゞのベレット1600GTの2台が同時期に登場する。
 最初にこの称号を使ったのはベレット1600GTで、1964年の4月28日に発売を開始。続いてスカイラインが3日後の5月1日に発売された。つまり国内初のGTはスカイラインと思われがちだが、実はたった3日の差でいすゞベレット1600GTだったわけだ。
 しかし、この話はここで終わりではなく、実のところスカイラインGTことS54は64年の3月13日に市販モデルが発表され、ベレット1600GTは64年の4月6日に発表された。
 つまり、発表時期ではスカイラインが先行しており、そう考えるとスカイラインが先だ…なんてことも言われるが、さらにこの話には続きがあって、いすゞはベレット1600GTの前身であるベレット1500GTを63年10月の第10回全日本自動車ショーで出品している。
 つまり、命名ということでいえばベレットが日本初のGTといえるわけだ。
 少し話がそれたが、こうして60年代に日本初のGTが誕生したが、高速で長距離の走行を楽しむことを指す「グラン・ツーリング」もしくは「グランド・ツーリング」に適したクルマだったのかどうか、となると答えは難しい。
 ベレット1600GTはSUツインキャブ装備のG160型エンジンで、最高出力は88馬力を誇る。
 高出力、高回転のエンジンを搭載し、装備を充実させた点ではGTの名にふさわしいクルマであり、後に後席に可倒式シートを備えたファストバックを350台限定で追加したあたりもグランド・ツーリングという目的に合致した作りを目指していたことがうかがえる。

 一方、スカイラインGTは、ご存じの通り、セダンのS50系スカイライン1500のノーズを無理やり伸ばし、 そこに6気筒エンジンを積んでパワーアップを図ったクルマだ。
 これは日本グランプリをはじめとしたレースに勝つために100台だけ作られたもので、モータースポーツのためのホモロゲーションモデルと考えてよいだろう。
 基本はセダンで、それを改造したクルマだけに速さはピカイチだが、操縦性や乗り心地はほめられないもので、とてもグランド・ツーリングを楽しめるクルマではなかった。
 そういう意味では本来の「GT」とはちょっと方向性が違っていたという見方ができる。
 だが、当時の日本で強く支持されたのはスカイラインの「GT」であり、第2回日本グランプリでの大活躍も手伝って、スカイラインGTこそがGTだという認識が浸透していくことになる。
 つまり、これこそが全世界的に見るGTの称号とは違う、日本独自のGT論となった概念誕生の理由であり、ヨーロッパやアメリカのGTとはまったく違う、高性能で速くて強い証、それがGTなのだ…ということで自然と理解されるようになった。

 

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