GTの名が最初に与えられたのはプリンスのスカイラインGTと、いすゞのベレット1600GTの2台が同時期に登場する。
しかし、この話はここで終わりではなく、実のところスカイラインGTことS54は64年の3月13日に市販モデルが発表され、ベレット1600GTは64年の4月6日に発表された。
少し話がそれたが、こうして60年代に日本初のGTが誕生したが、高速で長距離の走行を楽しむことを指す「グラン・ツーリング」もしくは「グランド・ツーリング」に適したクルマだったのかどうか、となると答えは難しい。
一方、スカイラインGTは、ご存じの通り、セダンのS50系スカイライン1500のノーズを無理やり伸ばし、 そこに6気筒エンジンを積んでパワーアップを図ったクルマだ。
これは日本グランプリをはじめとしたレースに勝つために100台だけ作られたもので、モータースポーツのためのホモロゲーションモデルと考えてよいだろう。
だが、当時の日本で強く支持されたのはスカイラインの「GT」であり、第2回日本グランプリでの大活躍も手伝って、スカイラインGTこそがGTだという認識が浸透していくことになる。
つまり、これこそが全世界的に見るGTの称号とは違う、日本独自のGT論となった概念誕生の理由であり、ヨーロッパやアメリカのGTとはまったく違う、高性能で速くて強い証、それがGTなのだ…ということで自然と理解されるようになった。