ニッポンの伝統である暴走族の文化を起源に、旧車會カルチャーが海外で注目されている。そこでこのコーナーでは、我々の知らない世界の旧車會事情を「旧車會・ザ・ワールド」として紹介。第2回は南半球のオーストラリア人、その熱き特攻魂をクローズアップする。

南半球オーストラリア在住の
〝外人ライダー〟



愛車紹介  愛車は1993年式の赤・白カラー、ホンダCB400 Super Fourだ。外装は赤いシールドの風防に、ヘッドライトのピヨピヨ、自作したヒョウ柄のロング三段シート、メガホン管、5連ラッパ、回転灯も装着している。
 自宅の広い屋根付きガレージに保管し、自由気ままなツーリングを楽しむ。愛車を改造するパーツは、インターネット通販などで購入。
 ヒョウ柄のロング三段シートは、ガレージで試行錯誤しながら自作カスタムした。発砲ウレタンで成形し、背はABS製の板で補強、ステージ固定する。パテも使っているようだ。まさに創意工夫の精神だ。

特攻服CHECK!! 愛用する特攻服はロング丈で、黒と白の2着。インターネット通販で日本のショップから取り寄せて、地元で刺繍を入れた。胸には母国オーストラリアの国旗と、日の丸が友好的に並ぶ。背中には、「日本豪州」「和魂洋才」「温故知新」の文字が躍る。
赤い特攻服は日本のTV番組のサプライズ企画で、氣志團・團長の綾小路翔さんからプレゼントされた。「豪州の暴走カンガルー慈夜暗(ジャン)」とネーミングされ、翔やん直筆サイン入りの宝物だ。


オーストラリア人ライダー
ジャンさんにインタビュー
 南半球オーストラリア在住の自称“外人ライダー”ジャンさんは、日本のTV番組に登場した過去があり、ご存知の読者もいるだろう。彼はチャンプロードのfacebookにもメッセージをくれている。熱烈なニッポンの暴走族ファンとして、今回このコーナーに登場してもらった。

 オーストラリア人のジャンさんは1960年代の幼少期、英語に翻訳されたニッポンのアニメ『鉄腕アトム』『鉄人28号』、怪獣映画『ゴジラ』『ガメラ』などを見て育った。
 日本のヤンキー文化に興味を持ち始めたのは'90~00年代の頃で、往年の人気作『ビー・バップ・ハイスクール』や『スケバン刑事』に影響された。
 彼は約8年前(=48歳)、ニッポンの暴走族スタイルに目覚めた。そのキッカケは、YouTubeで見た氣志團の動画だった。「背骨に電流が走った」ほどの衝撃を受けた彼は、氣志團リーダーの綾小路翔に憧れて不良スタイルに没頭していく。
 それ以降、インターネットで日本のヤンキーグッズを買い漁り、自宅の部屋に収集する。特攻服やセーラー服をはじめ、『ろくでなしブルース』『スケバン刑事』などの不良アイテムが満載だ。
 伝説の暴走族ブラックエンペラーを描いた『ゴッド・スピード・ユー! 』をはじめ、『下妻物語』『クローズZERO』『マジすか学園』など不良ムービーも数多く観たと言う。もちろん、我らが不良のバイブル『チャンプロード』の雑誌も、ネットで購読し本棚へ大切に保存している。
「日本では定価530円らしいけど、海を越えて1冊3,000円で買っているから、端から端まで熟読してるよ。チャンプロードを参考に、バイクもカスタムしているからね」と彼は話す。
 ニッポンの不良カルチャー、ヤンキースタイルを追いかけるうちに、日本の文化・伝統が持つ奥深さも知った。日本画、習字、模造刀、扇子、羽子板、舞妓の写真などコレクションも多数だ。
 普段の仕事は清掃員としてマジメに働きながらも、プライベートな時間は特攻服やスカジャン姿で過ごす。南半球オセアニアのオーストラリア広しといえども、「たった1人の“外人ライダー”だ」と笑う。
 自慢の髪型は、長い金髪を30分かけてリーゼントにセットする。もちろん氣志團の翔さんをリスペクトしているからだ。バイクに乗る時は、黒いロング丈の特攻服を身に纏う。
 ティアドロップ型のサングラスに、日章デザインの紅白マスク、赤い日章コルク半を被って走り出す。休憩でウ●コ座りしながらタバコを吹かす姿は、もう完全にニッポンのヤンキースタイルにしか見えない。
 「日本語で“出る杭は打たれる”というコトワザを知った。打たれても、決して引っ込まない。ニッポンの暴走族には、そんな強い魂を感じる。僕はもう56歳だけど、“いつか世界を変えるんだ”と望んでいた頃の心を思い出させてくれるんだ」と語る。

 北半球の日本から遠く離れた南半球のオーストラリアで1人、族スタイルを貫くジョンさん。地元で珍しい変わり者として笑われ、写真を撮られながらも、めげず気にせず笑顔で人生を楽しむ彼に強い魂を見た。ニッポンの特攻スタイルに誇りを抱き、孤独に走り続ける「豪州の暴走カンガルー慈夜暗」へ、今後も熱い声援を送りたい。


ジャンさんQ&A
CR
日本の暴走族の文化は何で知りましたか?
ジャン
「日本のTV番組やインターネット動画です」
CR
興味を持ったキッカケは何ですか?
ジャン
「暴走族ブラックエンペラーの映画『ゴッド・スピード・ユー! 』ですね」
CR
暴走族や旧車會のドコがカッコ良いですか?
ジャン
「すべてです。特に'70~80年代の特攻服が好きですね」
CR
日本人で憧れる人、尊敬している人は?
ジャン
「ニッポンの特攻隊を尊敬します。生ける伝説は、氣志團の綾小路翔です!」
CR
好きな日本語は?
ジャン
「大阪・京都の友達から教わった関西弁で、“何でやねん!?”“儲かりまっか?”“ボチボチでんな!”です(笑)」
CR
乗っているバイクの車種は?
ジャン
「ホンダCB400スーパーフォアです」
CR
他に共通のバイク仲間はオーストラリアにいますか?
ジャン
「暴走族スタイルのライダーは、自分だけだと思います。西部にはカフェレーサー好きな小さいグループがいますけどね」
ジャンさんが管理人を務めるfacebookグループ「BoSoZoKu Motorcycles」は、暴走族ファンのメンバー約470人が参加している。(※2017年7月現在)
CR
今後やりたいと思っていることは何ですか?
ジャン
「ファイバー製のロケットカウル装着か、風防を交換したい」



スナップ写真ギャラリー 千葉・成田空港の到着ロビーにて、特攻服を着て記念撮影! ニッポンの旧車會バイクに跨らせてもらい、ご満悦の表情だ。 国民的アイドル元AKB48の板野友美さんと2ショット写真も!! 『ハローキティ』はニッポンの人気キャラクターらしく、こけし人形や舞妓さんも女性的で平和を感じるという。
初来日した昨2016年10~11月の記念写真。風神・雷神のスカジャンを着こなす。 よく見るとチャンプロード限定Tシャツを着ている。流石です。
コルク半が売ってないので、半キャップにタレを付けて工夫する。手前の女性はガールフレンドかな? ニッポンの特攻魂を愛するオーストラリアの“外人ライダー”は今後も走り続ける!

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